2009年2月6日金曜日

フランス料理を私と


パーティーシーズン真っ盛りですね。当店も連日忘年会やらなんやらで盛り上がっております。ある程度の人数で予算を決めて予約していただけると、前もってお料理をたっぷり作っておけるから私にとってもお楽しみ。近頃はケータリング用のフィンガーフードや和洋折衷のお料理を作る機会が多かったのですが、今週はフレンチ多めで攻めてます。大好きな本「フランス料理を私と」を最近読み返した影響もあって。
伊丹十三さんが著名人の家の台所を借りて、辻調理師専門学校の水野先生にフランス料理の作り方を習いながらそれを家主に振舞ってフランス料理を切り口に対談していくという変わった形式の本で、レシピもオールカラーで載っているのですが、とても家庭で作れるような料理じゃありません。
で、まあそこが面白いところで、フランス料理とはなにかって話がまず最初の玉村豊男さんとの対談ででてくるのですが、いわく・・・(かなり凝ったコース料理を食べながら『フランス人は毎日こんなものを食べているのか?』という伊丹さんの質問に)「恐らく昔のフランスの庶民というのは基本的に飢えている状態に置かれていたんですね。(中略)ジャガイモが新大陸からやってくるまでそうとう厳しい状態だった。だからそういう一般階級の食への願望の表現というのが王侯貴族の食べる豪華な料理として現れたんじゃないですかね。王侯貴族の支配しているテリトリーをメニューに全部反映させないと気がすまない。牛も魚も小麦もチョコレートも自分の支配下にあるのだということをメニューにおいて再確認しようというわけ(中略)この権力への意志みたいなものを持たない限り、われわれフランス人としてフランス料理を食べてることにならない(中略)本当の意味でフランス料理を学ぼうとするなら自分で作っちゃいけないんですよ。あくまでも人に作らせて、たとえ連中が腹を空かしていようが、飢えていようが平然として食う意志がない限り、これは味わえないということですね」うーん、デカダンですねえ。素敵!!
ということで、権力への意志を強く持った麗しき女王様Sさんのお誕生日パーティー用には特にゴリゴリのフレンチメニュー作りました。お手々を怪我しているのでちょっとへこたれて貴族のお料理ではなくビストロメニューだったのはご愛嬌で。
・ポロネギのマリネ
・ハムのムース
・サラミとマンゴー入りのショートパスタサラダ
・ポテトグラタン
・ムール貝のワイン蒸し
・蒸し鶏とチコリ、ラディッシュ、アスパラ、カリフラワーなどの蒸し煮アイヨリソース添え
・塩漬け豚のマスタードソース、レンズ豆のサラダ添え
・特大のショコラとナッツのバースデーケーキ
ストロングスタイルのファッションピープルばかりの華やかなパーティーでございました。私は飢えたコック兼給仕係として参加(笑)食べる側に回る時は自分で作らず素敵なレストランに行くよう心がけることにします。

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